モズ:OSINT増幅型脆弱性

モズ:OSINT増幅型脆弱性

1 結論

モズを悪用した場合、現状の情報から見る限り、最大被害は「破壊」ではなく「調査能力の悪用」である。

モズは楽譜を書き換えるAPIではなく、写真から抽出したヒントを moz_scan に渡し、Tavily Search APIで複数方向検索して候補URLを回収・整理する構造になっている。楽譜のログ上でも、モズは「画像解析API」ではなく、ChatGPT側の視覚認識で拾ったヒントをTavily検索に渡す検索脚だと整理されている。

危険度は次のように見る。

  • サイト破壊リスク:低〜中
  • 情報収集悪用リスク:中〜高
  • プライバシー侵害リスク:高くなりうる
  • APIコスト消費リスク:中
  • 鍵漏洩時の連鎖リスク:高

2 理由

モズの現在のAction(アクション)は、moz_healthmoz_personamoz_scan で、中心は moz_scan である。

ログでは、moz_scan が最大5個のヒントを受け取り、Tavily Search APIで5方向検索し、候補URLを回収する流れになっている。

つまりモズの本質は、写真起点OSINTの初動スキャン装置である。

OSINTは公開情報を使うので一見安全に見える。しかし悪用すると危険になる。公開情報を組み合わせることで、個人・場所・行動・所属・生活圏を推定できるからである。

3 悪用したらどこまでできるか

1. 写真から場所の候補を絞る

モズは画像そのものをAPIに送るわけではない。ただしChatGPT側が写真から拾ったヒントを検索できる。

たとえば、看板、店名、地名、建物名、書籍名、制服、イベント名、背景の文字、ナンバーではない周辺情報、風景の特徴などの断片を検索にかけると、場所候補をかなり絞れる。

危険性は、写真1枚から、撮影場所・行動範囲・通っている場所の推定につながることである。

2. 人物の生活圏推定に使える

直接「個人を特定するAPI」ではない。しかし写真内のヒントが重なると、生活圏が見える。

よく行く店、通学・通勤ルート、居住エリアの候補、所属コミュニティ、趣味のイベント、購入物の傾向、時間帯の行動パターンなどが積み重なると、単発の検索ではなく、人物プロファイリングに近づく。

ここはモズの一番危ないところである。

3. Doxxing(ドクシング)の補助になる

Doxxing(ドクシング)は、個人情報を集めて本人特定・晒し・嫌がらせにつなげる行為である。

モズが悪用されると、写真の中の小さなヒントからWeb検索を行い、候補URLをたどり、所属・場所・名前・活動履歴の絞り込みに使われる可能性がある。

モズ単体が個人情報を盗むわけではない。しかし、公開情報をつなぐ速度を上げることが危険である。

4. ストーキング支援になりうる

SNS写真、背景の店、服装やイベント名、ポスター、地域名、学校・職場に近い情報をヒント化して moz_scan に流すと、対象者の行動圏を絞れる可能性がある。

これはモズの検索能力そのものというより、AI視覚認識 × 検索API × OSINT整理 の組み合わせによる危険である。

5. APIコストを燃やせる

認証トークンが漏れた場合、外部者が moz_scan を連打してTavily APIを消費できる。

被害は、API利用料の増加、Rate Limit(レート制限)到達、正規利用不能、ログ肥大化、サーバー負荷などである。

ログでは、モズ検索APIは X-MOZ-TOKEN による合言葉認証で、Tavilyキーはサーバー側の /search/config.php に置かれていると記録されている。この設計は「TavilyキーをChatGPT側に置かない」という意味では良い。だが、X-MOZ-TOKEN が漏れるとモズの入口は叩ける。

6. 検索結果の誘導を受ける

モズはWeb検索結果を使う。だから検索結果側が汚染されていると、報告内容が歪む。

これは Search Result Poisoning(検索結果汚染) に近い。

悪意あるページが検索上位に出るように作られていた場合、モズがそれを候補として拾い、誤った判断材料を太一に返す可能性がある。

この場合の被害は、誤認、誤った候補URL提示、偽情報の信頼、危険サイトへの誘導、次の調査方針の歪みである。

7. モズの人格・報告様式を利用される

moz_persona があるなら、モズの役割・口調・前提を返す可能性がある。それ自体は危険ではないが、攻撃者がモズの報告スタイルを理解すると、どんな入力をすれば、どんな形で整理されるかを学べる。

これは直接の侵害ではない。ただし、悪用者にとっては使い勝手が上がる。

4 逆に、今のモズではできなさそうなこと

見えている範囲では、モズは以下まではできないはずである。

  1. 楽譜ページの書き換え
  2. /canon/ への保存
  3. /logs/ への追記
  4. LINE通知
  5. ファイル削除
  6. サーバー設定変更
  7. APIキーの直接取得
  8. 画像ファイルの直接解析
  9. 非公開DB検索
  10. SNSアカウントへのログイン

ログ上でも、モズは /public_html/search/ 配下の検索APIであり、楽譜API /api 側は「触ってはいけないもの」として分離されている。

したがって、モズの危険は 改ざん型ではなく、探索型 と見るのが正確である。

5 モズの脆弱性を一言で言うなら

OSINT増幅型脆弱性

または、

探索能力接続型脆弱性

定義するとこうである。

写真や断片情報から抽出されたヒントを検索APIへ接続することで、本来なら人間が時間をかけて行う公開情報調査を高速化し、場所特定・人物推定・生活圏推定・情報収集の悪用を可能にする脆弱性。

モズは「壊すAI」ではない。しかし悪用されると、探す力が強すぎるAI になる。

6 危険度ランキング

モズで現実的に危ない順。

  1. 人物・場所の特定補助
  2. ストーキング支援
  3. Doxxing(ドクシング)補助
  4. APIトークン漏洩による無断利用
  5. Tavily利用料・Rate Limit(レート制限)消費
  6. 検索結果汚染による誤誘導
  7. 調査ログからの二次情報漏洩
  8. モズの報告様式を利用した効率的な悪用

7 防御するなら

モズに必要なのは、破壊防止より OSINT倫理ガード である。

1. 対象制限

個人特定につながる依頼は拒否する。

例として、「この人の住所を探して」「この写真の場所を特定して」「このSNSの人がどこに住んでるか調べて」「この制服の学校を特定して」「この店にいつ来たか推定して」などは危険である。

2. 出力制限

場所候補は出しても、個人の追跡に使える形で出しすぎない。

候補地域の一般情報は出すが、住所・生活圏・通学先・職場候補の断定は避ける。

3. ヒント制限

moz_scan に渡すヒントを分類する。

危険ヒントは、個人名、顔、学校名、職場名、住所、車両ナンバー、SNS ID、電話番号、メールアドレス、子どもに関する情報である。

これらは検索前に止めるか、マスクする。

4. レート制限

X-MOZ-TOKEN が漏れたときの被害を小さくする。

  1. 1分あたり回数制限
  2. 1日あたり回数制限
  3. 失敗認証の記録
  4. 異常連打の遮断
  5. トークンローテーション

5. 監査ログ

モズは検索型なので、ログが重要である。

最低限、実行時刻、呼び出し元、ヒント数、危険ヒント判定、検索回数、結果件数、拒否理由、個人特定系かどうかを残したい。

ただし検索ヒント全文を保存すると、それ自体が個人情報ログになる。だからログは、本文保存ではなく、分類・ハッシュ・危険度中心がいい。

8 太一OS上の位置づけ

モズは、レプリカや楽譜APIと違って、書く権限の危険 ではなく、探す権限の危険 を持っている。

AI/API 主な能力 主な危険
レプリカ楽譜API 書く・追記する 改ざん・記憶汚染
LINE通知 外に送る 誤爆・情報流出
モズ 探す・照合する OSINT悪用・特定補助
/canon/ 操作 正典化する 思想核汚染
/taichi/ 操作 太一像を変える 人格コンテキスト汚染

モズは「検索脚」だから、危険の種類が違う。しかし軽く見ない方がいい。

9 まとめ

モズを悪用した場合、できることは主にこれである。

公開情報を高速に集めて、写真・断片・ヒントから対象を絞り込むこと。

だから最大リスクは、破壊ではなく特定。改ざんではなく追跡。漏洩ではなく公開情報の再結合である。

このタイプの脆弱性は見落とされやすい。

太一OS的に言うなら、

モズは「書けないから安全」ではない。探せること自体が、権限である。

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